のぐちよ日記

映画、本、アート、日々のことをちまちまと。

旅に出る 青の新潟・十日町市編 1

新幹線から降りると、原っぱの匂いがした。ちょうど稲が青々と揺れる季節である。原っぱのような匂いは、一面に広がる稲の匂いだったのだ。コロナ前に東京から新潟へ移住した友達が、浦佐駅の改札の外で大きく手を振ってくれているのが見えた。日焼けした肌…

長岡の子どもたち 3

車の窓から見えた、風で波打つ鮮やかな緑の稲穂畑を「きれいだなあ。みんなおなじ背丈に成長するのはなんでだろう」とぼーっとしながら呟いたら、「そりゃー同時に苗を植えるからだよ」。ともだちのお父さんが運転をしながら、ゲラゲラ笑って言った。ルーム…

長岡のこどもたち 2

「新潟にはね、三代花火って呼ばれているのがあるんだよ」そうともだちのお母さんがそう教えてくれた。続けてどこと、どこと、どこだよと場所を説明をしてくれたが、ぜんぜんピンと来ていないわたしに、「長岡は川だけど、他の花火は海と山でそれぞれ上がる…

長岡の子どもたち

駅の混雑、ロータリーの渋滞を車で抜けると、大きな橋が見えてくる。真っ青な空、橋の下にはみんな同じ方角を向いた、小さなひまわり畑が広がっていた。運転手は、ともだちのお姉さんだ。妹にあたるともだちに話しかけるよりも、すこし高い声で「これが信濃…

旅にでる 年末年始・東南アジア編 7(ハノイシティ歩き/だれが街のイメージをつくるか)

東南アジアのなかでも、ベトナムは南北に長い国であるため国内でも寒暖差がある。 北に位置するハノイは、日本の比べたらずっと暖かいけれど、年始の時期でちょうど日本の4月くらいの気候といったところだろうか。滞在中はユニクロのウルトラライトダウンが…

旅にでる 年末年始・東南アジア編 6 (グレー色の街・エメラルドグリーンの国)

プノンペンは、薄暗いグレー色の街だった。 一緒に行ったともだちも「なんだか不気味な雰囲気だね」と言っていたので、概ね同じことを感じたのだろう。 そして、その印象を色濃くつけるのに十分な出来事がわたしたちに起きていた。 プノンペンのホテルに到着…

旅にでる 年末年始・東南アジア編 5 トゥール・スレン虐殺博物館

シャム(現タイ)とベトナムの二重属国時代*1、それを抜け出すため王自ら支配下にはいったフランス植民地時代、やがてフランスから独立を果たしたシハヌーク王の国政、独裁政権下で起こったクーデターで軍事政権発足。 1863年から1970年までのカンボジアの歴…

旅にでる 年末年始・東南アジア編 4(プノンペン行きの飛行機にて)

シェムリアップから首都プノンペン行きの飛行機は、今まで乗ったどの飛行機よりも小さく、乗客マナーは過去最低だった。 搭乗手続きのときなんて、集団が平気な顔して横入りしたり、パスポートをスタッフに見せながら怒鳴っているひとがいたり散々な有様であ…

旅にでる 年末年始・東南アジア編 3(アンコールワット/密林に浮かぶ楽園)

クメール語で「寺院のある都」という意味を持つ*1アンコール王朝は、11世紀に最盛期を迎えた大帝国である。 王は威厳を保つため、天界と地上を結ぶ唯一の存在であると国民にアピールし増築を繰り返し生まれたのが、アンコール巨大寺院群であり、アンコールワ…

旅にでる 年末年始・東南アジア編 2(オープン・シェムリアップ!)

都市部空港は、現代的な外観、高い天井、大きい窓がつけられているといった特徴のデザインが多い。 デザインは幅広いけれど、開放的でダイナミックだというところは、同じなのではないだろうか。どの国に行っても大きな違いはないと思う。 しかし、アンコー…

旅にでる 年末年始・東南アジア編/上海空港で起きたトラブルのはなし

だだっ広い上海空港で、乗り継ぎ便が間に合わなかったことを知り、ともだちとふたりでショックを受けていたとき、視界にひとりの日本人女性が入った。 ボブヘアーの彼女は黒のダウン、黒の緩めのスエットのようなパンツを履いていて、バッグパックをもってい…

旅にでる 週末京都編  4

無鄰菴(むりんあん)は、明治・大正時代の元老、山県有朋が建てた別邸である。生前は多忙な公務の間に、しばしば夫人と訪れたらしい。 今やその素晴らしい別邸の庭は、みんなのものになった。有料だけれど、時間が止まったような、小さい自然に足を踏み入れ…

旅にでる 週末京都編 3

鞍馬から叡山電車にのり一駅もどると、貴船口駅につく。貴船神社への最寄り駅である。 電車から降りると、川が流れていた。 澄んだ水に浮かれて、少しだけ川遊び。 着ていた汗だくのTシャツとスキニージーンズが湿気でぴったりくっついた。 汗ばんで気持ち悪…

旅にでる 週末京都編 2

京都旅行2日目。 喫茶店でゆったり朝食をとった後、北野天満宮へ。 この日は、お祭りだった。 境内入り付近の通りには、食べ物の屋台があったけれど、多くはヴィンテージの着物や骨董、生地がずらりと並んで売られていた。骨董市のような雰囲気である。 訪…

旅にでる 週末京都編 1

京都へいくたび「パリみたいだな」と思う。 パリへは二度旅行しただけなので、パリ通に怒られてしまうかもしれない。 もちろん、文化や雰囲気は違うけれど「質の良いものを大切にする」、「パリ(京都)市民が誇り高い」といった共通点が、いくつかある気が…

旅にでる 伊豆編 2 (もしも伊豆で生まれ育っていたら/海について)

宿に向かう車の中で、わたしと友達は、ついさっきドライブスルーで買ったマクドナルドのハンバーガーとポテトを頬張りながら、「もし伊豆で生まれ育ったら、どんな青春時代を過ごしていただろう」という妄想話で盛り上がった。 わたしはこういう、「もしここ…

旅にでる 伊豆編 1

もう先週末のことになる。友達とレンタカーを借りて伊豆へ一泊二日の旅行をした。 わたしはペーパードライバーのため、友達二人が交代で運転をしてくれ、とても助かった。長旅の運転どうもありがとう。 旅の一番の目的は海水浴だったが、他にもあった。イズ…

大阪おもろいで。知らんけど

ユニバーサルスタジオジャパンについては、みなさんよくご存じかと思うので、乗り物の感想を細かく書くつもりはない。 ただ、ずっと気になっていたハリー・ポッターのアトラクションに乗れたので大満足。行ってよかった。 最近、走行中緊急停止しそのまま数…

ひとり京都のてびき。

京都・大阪へ二泊三日の旅行をした。 大阪に住む友達と、ユニバーサルスタジオジャパンに行こうということになったのだ。友達が会えるのは土曜日からとのことだった。せっかく行くんだったら金曜から前のりしようと決めた。 母は大の吉本新喜劇ファンなので…

ゴールデンウィークは益子陶器市へ行きました

母がわたしの、お気に入りのマグカップを割った。 ニューヨーク留学中買い、ずっと使っていたものだったので、ものすごくショックだった。ニューヨークの思い出がひとつ消えてしまったような気がしたのである。 黙っているわたしを見て、母は後ろめたくなっ…

旅にでる 鳥取編 (鳥取砂丘)

ハチミツとクローバーを読んでから、鳥取砂丘に憧れていた。 ハチミツとクローバー 1 作者: 羽海野チカ 出版社/メーカー: 白泉社 発売日: 2016/08/10 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (3件) を見る 「まだ帰りの飛行機まで時間あるし、鳥取砂丘いこ…

旅にでる 島根編 2 (足立美術館、小泉八雲記念館)

島根県は瓦屋根の日本家屋が多い。出雲空港を出ても、松江市に入っても、瓦屋根の立派な家が立ち並んでいる。 2日目の朝、タクシーに乗った時に母が運転手さんに瓦屋根のお家が多いんですね、と話しかけると「ここら辺で瓦を作ってるから多いんですよ」と教…

旅にでる 島根編 1(出雲大社、島根県立美術館、宍道湖)

太鼓の音にさそわれて旅に出た、と書いたのは村上春樹のギリシャ・イタリアエッセイの「遠い太鼓」であったが、わたしの旅はそんなかっこいいものではなく、母の一言から始まった。 「OL時代に、友達と出雲大社に行こうと話をしていたんだけれど、わたしだけ…