のぐちよ日記

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一気見したNetflixオリジナルミステリードラマ

ミステリー•サスペンスドラマは好きで結構見ているけど、つまらないとすぐ離脱してしまう。今回は選りすぐり、今年春頃から全話一気見したNetflixオリジナルドラマを二つ紹介します。

◾️クリミナル

1話完結•全編密室ドラマ。

https://filmarks.com/dramas/7838/11397

犯罪取り調べ専門の部署が、犯人と対話して事件や犯行の経緯、真相を暴いていくドラマ。
1話完結、すべて取り調べ室で行われる会話劇。
場所は取り調べ室固定のため、ほぼ登場人物のアップや引きなどのカメラワークしかない、しかも回想シーンもなし。退屈に見えるが、これがめちゃくちゃ面白くて一気見した。

ユニークなのは、クリミナルシリーズは国ごとでシーズンが分かれており、それぞれを各国出身の監督が手掛けているのだ。

イギリス編はシーズン2まで、計8話。ドイツ、フランス、スペインはシーズン1、4話ずつ。
部門の人員構成はほぼ同じ、女性が部門のトップだが、キャラクターや人間模様は国によってぜんぜん違う。

個人的順位は、一位イギリス、二位ドイツ、三位スペイン、四位フランス。

イギリスはやっぱりすごい。ミステリー、サスペンス本場なだけある。
人物の描写から、さりげなく伏線が散りばめられていて、すべてが最後繋がる感覚がある。とってもロジカル。
移民問題とか、現代の問題を上手に扱っていて、説教くさくなくて良かった。

二位はドイツ。東ドイツ時代の話を持ってくるのはずるい。東ドイツ出身の捜査のずさんさとか、ドラマがありまくる。そこだけでも最高。話はどれもおもしろかった。雰囲気は少々硬めでイギリス寄り。

スペインはとにかく、ぶっ飛んでいた。猟奇的な犯罪もあって、狂ってておもろしかったが、かなり尋問が強引すぎる。
それありなの?って思ってしまうとんでもない展開もあった。
「女は〜であるとニーチェが言った」といったセリフがあって、ジェンダーが厳しい昨今、大丈夫なのかこっちが不安になった。

それから、「スペインは500年前からクソの中にいる」みたいなセリフもあり、ああ、スペインハプスブルク以降ってことか、とすぐ納得した。
やっぱりスペイン人もスペイン•ハプスブルクが黄金期の認識なんだな。個人的に印象的なセリフであった。
1番登場人物たちの恋愛模様に重きを置いているような感じがした。

最下位はフランス。正直あんまり覚えてない。
大体が予想できたストーリーだったし、人物もそこまで魅力的ではなかった。
ただ、女性キャラクターが突発的な行動に出ることが多くて、フランス人は激情型が多いのかもと思った。
トリックもそんなに驚くものはない感じだったな。キャラの性格といい、理論よりも感情を重視するストーリー展開であった。

◾️ブレッチリー•サークル サンフランシスコ

手に届く範囲の正義。

https://filmarks.com/dramas/7879/11460

レッチリーとは、第二次世界大戦時に、政府の暗号学校があったブレッチリーパークのことらしい。実はロンドン編が元にあり、そのスピンオフ作品。ロンドン編はいま配信していないので、見れなくて残念。

元暗号解読部隊にいた、二人のイギリス人女性がメインキャラクター。戦後1950年代の話。
大戦時に不審な死を迎えてしまった同僚の女性と酷似した事件がサンフランシスコで起きる。一連の事件の真相解明のため、ふたりがサンフランシスコへ渡る話。
大体一つの事件につき2〜3話分。中だるみせずにサクサク見れるのが魅力。

戦後の兵士の扱いとか、ベトナム戦争の予兆とか、人種差別の運動など、当時の社会問題を扱う事件が多い。
しかし、メインと周りのキャラクターたちが女性だからか、絶妙に渦中の人々から逸れるのである。
例えば息子が人種差別のデモに参加しているとか、旦那がベトナムへ行くことになったとか、いとこが共産主義者と間違われて警察へ連れてかれたなど。メインキャラクターたちは、実生活は男性の影であること、当時いかに女性の存在感が薄かったかがよくわかる。
身の回りのひとたちが事件に巻き込まれ、主人公たちは首を突っ込むようにして、暗号解読の能力を活かしながら、解決に導いていくのだ。

暗号自体はそんなに難しくないので、トリックが複雑ではないのも魅力の一つである。

とても面白いのだが、ひとつ言わせてもらいたいのは、犯人の動機が自己承認欲求のパターンがいくつかあり、すごく現代的だなあと思う。
当時はもっと、生活に必死だったんじゃないかなと思った。家電も性能良くないから主婦業大変だろうし。
まあ、そんなリアリティ突き詰めても仕方ないし、あくまで現代人が見るものなので、それで良いのかもしれないけれど。

おしまい。