のぐちよ日記

映画、本、アート、日々のことをちまちまと。

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

本能に抗えるのか 板垣巴留「BEASTARS」

2018年マンガ大賞が「BEASTARS」が受賞したと王様のブランチを見て知った。 私は以前ブログで書いた通り「凪のお暇」押しだったので、がっかりしたけれど、インタビューに答えた作者が鶏の被り物をして出てきて驚いた。 noguchiyo06.hatenadiary.jp 顔出しの…

ルドンと春とギリシャ神話 オディロン・ルドン「ルドン―秘密の花園―展」

春の鮮やかな花々で描かれた展覧会があることをご存知でしょうか。 ルドンー秘密の花園|三菱一号館美術館(東京・丸の内) 三菱一号館美術館の、「ルドン 秘密の花園」展である。 オディロン・ルドンは1840年にフランスで生まれた画家である。ロダン、…

古本を巡って 浅生ハルミン 「ハルミンの読書クラブ」

都会でビルが建ち並ぶ様子をみて「ビルが地面から生えてきた」と思う人はビル好きで、「ビルが地面に刺さっている」という人はビルに対して否定的な人でしょう。 前者はビルを生き物にたとえるだけの親近感を持っているということだし、後者にとってビルは…

旅にでる 鳥取編 (鳥取砂丘)

ハチミツとクローバーを読んでから、鳥取砂丘に憧れていた。 ハチミツとクローバー 1 作者: 羽海野チカ 出版社/メーカー: 白泉社 発売日: 2016/08/10 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (3件) を見る 「まだ帰りの飛行機まで時間あるし、鳥取砂丘いこ…

旅にでる 島根編 2 (足立美術館、小泉八雲記念館)

島根県は瓦屋根の日本家屋が多い。出雲空港を出ても、松江市に入っても、瓦屋根の立派な家が立ち並んでいる。 2日目の朝、タクシーに乗った時に母が運転手さんに瓦屋根のお家が多いんですね、と話しかけると「ここら辺で瓦を作ってるから多いんですよ」と教…

旅にでる 島根編 1(出雲大社、島根県立美術館、宍道湖)

太鼓の音にさそわれて旅に出た、と書いたのは村上春樹のギリシャ・イタリアエッセイの「遠い太鼓」であったが、わたしの旅はそんなかっこいいものではなく、母の一言から始まった。 「OL時代に、友達と出雲大社に行こうと話をしていたんだけれど、わたしだけ…

クリエイティブ習慣 メイソン・カリー 「天才たちの日課」

生粋の飽き性である。歯磨きや入浴などの習慣はあっても、やらなければならないこと、学びたいことは全くといって続いたことはない。 食事の時間さえ、規則正しくするのが苦手だ。 習慣にしたいことそのものを忘れてしまうこともしばしば。注意散漫で集中力…

わたしのピカソ愛

これいいなあ、と思ったイラストや絵画をよく見るとピカソであるものが多い。 ある時は、箱根の美術館に行った時。回転式のラックにささっているポストカードを見ていると、クリーム色の紙にペンで一筆書きされたようなタッチ、女性が寝転がっている構図のカ…

みかくとみため

ドキュメンタリーが好きなのは、小さい頃からのようである。 大豆から、豆腐、醤油、味噌、納豆になる工程をイラストで描いた絵本が家にあってよく読んでいた。 イラストが可愛かったこともあるけれど、大豆から、たくさんの食品になることが面白かったし、…

中島みゆき「悪女」

有吉佐和子の「悪女について」という本を読んだことがある。 悪女について (新潮文庫 (あ-5-19)) 作者: 有吉佐和子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1983/03/29 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 74回 この商品を含むブログ (47件) を見る ある日突然、…

一瞬と永遠と香りについて

Oh baby 今夜のキスで 一生分のこと変えてしまいたいよ 七尾旅人、サーカスナイト冒頭の歌詞である。 刹那的なものと永遠の対比である。恋の情熱と、この時間軸の比較がすごく良い。いい意味でとても大げさなことに感じる。聴くたびに聞き入ってしまう曲であ…

印象派絵画とわたしの片思い

印象派画家の展覧会をよく目にする。 印象派絵画は19世紀後半のフランスで生まれた表現方法である。 チューブの絵具が誕生したことで画家たちは屋外で絵を描くようになり、光の表現が多彩になった。色とりどりの色と、厚く絵具を重ねたタッチが特徴の絵画…

石の上にも三年 鳥飼玖美子「本物の英語力」

「学歴は必要ない」(今SNSで就職活動をしている学生が暴露した、企業の学歴フィルターの件で話題になってますね)、「お金は必要ない」など必要ない、と断言してしまうことは 意見として強いし、ぐっと興味が惹かれる言い方だ。 思わず「それってどういうこ…

長い長い物語の記録 石内都 肌理(きめ)と写真展

頭に雷が落ちたようだった。 石内都さん「肌理と写真」展のわたしの感想である。 yokohama.art.museum 岩内都さんがエッセイ「写真関係」でこう語っている。 頼まれて撮る写真は、シャッターを切る相手、たとえば目の前の風景や人物が私と何らかの関係が持て…

小粋な結末の短編集 サマセット・モーム「ジゴロとジゴレット」

小説を読んで何を面白いと思うか読者それぞれだが、巧みなストーリー展開やひねりのきいたエンディングにおいて、モームの右にでる作家はいない。そういった特徴は『月と六ペンス』や『人間の絆』 などの長編にもうかがえるが、とくに短編が素晴らしい。 訳…

ぐりぐり掘り出すねほりんぱほりん♪ NHK「ねほりんぱほりん」

テレビをほとんど見なくなってどのくらいたっただろうか。 食・お金・健康。大体この内容でテレビ番組ができている気がしてならない。繰り返し同じトピックが流れているように思える。 加えて最近、公共の場にマナー違反の人がいたことを糾弾する番組が多い…