のぐちよ日記

映画、本、アート、日々のことをちまちまと。

2018-01-01から1年間の記事一覧

「マダム・イン・ニューヨーク」とガーナ人の警備員のこと

「マダム・イン・ニューヨーク」という映画を見たら、留学していたマンハッタンの学校の警備員を思い出した。連絡先も名前も知らないが「その当時すれちがっただけのひと」のほうが後々思い出に残るものである。 色黒でスキンヘッド、いつも黒ぶち眼鏡をかけ…

近所の田中くん

小学校3年生の時、同じクラスだったキヨちゃんとよく遊んだ。同級生にキヨちゃんのいとこである田中くんがいたけれど、クラスがずっと違かったのもあって、一度も話したこともなかった。 田中くんは色が白くて、細くて眼鏡をかけていた。背の順はいつも後ろ…

開き直りで今日を生きる

就職の面接はボロボロだった。 一通り話を終えると面接官は、「選考が終わったら連絡しますね」と目を合わさずに言い、エレベーターへ誘導したのである。 会社を出てから、履歴書を破り捨てたくなった。わたしの受け答えがよくなかったせいであると思う。け…

「死んだらどうなるの?」と聞かれたときの答えかた

小さい頃、伯父に「死んだらどうなるの?」と聞いたことがある。だれしも一度は疑問に思うだろう。 すると伯父は「死んだらなにもないよ。永い眠りだよ。眠ったらなにも感じないでしょ?それと同じだよ」と言った。 その時、わたしは谷底に突き落とされたよ…

「マディソン郡の橋」は中年の危機についての映画だなと思った

マディソン郡の橋は1995年公開のアメリカ映画で、同名の小説が原作である。批判を受けながらも、口コミで広がり有名になったそうだ。 映画の主演は、メリル・ストリープとクリント・イーストウッドである。批判を受けた理由は不倫ラブストーリーだからで…

ここ3ヶ月間ずっと聴いている曲を紹介します

ここ3か月間、ずっと聴いている曲を紹介したいと思う。 「浮遊感のある曲が好き」「個性的な歌詞が好き」という人にはヒットするかもしれません。 ◆紫田聡子 愛の休日(アルバム) 愛の休日 アーティスト: 柴田聡子 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード 発…

「GIRLS」は自己意識と性について考えさせられるドラマである。

「GIRLS」はニューヨークのブルックリンで、友達とルームシェアをする24歳の女の子、ハンナとその友人たちの恋愛コメディドラマである。 これだけ聞くと「セックスアンドザシティ」や「ゴシップガール」が頭に浮かび、さぞおしゃれで性に奔放な女の子たちの…

母であることから永遠に逃れられない

先日、母が熱海へ一泊二日の旅行に出かけた。 学生時代の友人との旅行である。 母は出発の一週間ほど前からそわそわしていて、わたしに「~しといて」と細々、お使いを頼んだ。そして旅行当日の早朝、どれがいいと思う?とわたしに向けファッションショーを…

リメンバー・ミーの感想と日米予告編比較

数年前、ディズニー・ピクサー映画のベイマックスがヒットした。 わたしの周りで評判が良かったので、見に行ったのだが、予告編が感動ものと謳っているにもかかわらず、本編はアメコミのアクション映画だったのでびっくりした。 予告と違うとがっかりしたが…

ゴールデンウィークは益子陶器市へ行きました

母がわたしの、お気に入りのマグカップを割った。 ニューヨーク留学中買い、ずっと使っていたものだったので、ものすごくショックだった。ニューヨークの思い出がひとつ消えてしまったような気がしたのである。 黙っているわたしを見て、母は後ろめたくなっ…

中国の友達が東京へきた! 6 最終回 (どうしてブログに書こうと思ったか・中国について・その他)

中国の友達が東京にきたときのことを、詳しく書こうと思ったのは二つの理由からであった。 一つ目は、このブログを見た誰かの、外国人の友達が遊びにくることになり「どこに連れて行こうか」と悩んだとき、少しでも参考にしてくれたらという思いからである。…

中国人の友達が東京にきた! 5 上野美術館めぐり編(プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光)

上野美術館めぐり後編は西洋美術館の「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」についてです。 artexhibition.jp 17世紀のスペイン絵画展で、ディエゴ・ベラスケス作品7点と他傑作70点の展覧会である。 ディエゴ・ベラスケス(1599-1660年)はス…

中国人の友達が東京にきた! 4 上野美術館めぐり編(プーシキン美術館展―旅するフランス画)

中国の友達と、東京で遊んだときの回顧録でございます。 美術館に行きたい、けれど展示は何でもいいとのことだったので、それじゃわたしの見たいもので、と東京都美術館でやっている「プーシキン美術館展―旅するフランス画」と西洋美術館での「プラド美術館…

中国人の友達が東京へ遊びにきた! 3 中目黒古着めぐり編

友達が古着を買いたいとのことで、3日目は中目黒古着めぐり。 中国はヴィンテージショップが少なく、一部セレクトショップに置いてあるだけだそうで、日本にはたくさんお店があると、すでに調べていたようだった。 友達が東京へ来る前と同様、わたしは無駄…

中国人の友達が東京へ遊びにきた! 2 銀座買い物編

前回のブログの続きです。 noguchiyo06.hatenadiary.jp 銀座界隈で1日お買い物。友達は即決でバンバン買っていくので驚いた。 けれど、潔く買っていく姿は見ていて気持ちが良いし、特に日本製品をたくさん買ってくれた時なんかは品質の良さを認められたよう…

中国人の友達が東京へ遊びにきた! 1

ニューヨークにいた頃、知り合った日本人の方が、銀座で自身ブランドのポップアップストアを開くことになった。 これはめでたいと共通の友達である中国人の友達に早速連絡することに。しかし問題が発生。Wechatのアカウントのパスワードを忘れてしまい、ログ…

ポパイ5月号「ニューヨーク退屈日記」とわたしのニューヨーク

正統派ユダヤ人を、ニューヨークに行くまで見たことがなかった。 本で読んだのでもともと知っていた。男性はひげを伸ばし黒い帽子、黒のジャケットスタイルとパンツ、白シャツ、黒の靴。女性はひざ下丈のスカートの格好であるが、本物を見たことがなかったの…

美容院にて髪型が希望通りにならなかったときのこと。

美容院で髪を切って、 イメージ通りの髪型にならなかったとき、いらいらとがっかりした気持ちが入り混じって、誰にも会いたくないと落ち込む。 もし髪をばっさり切ってしまったなら、切らなければよかったと後悔が残る。一度切ってしまったらもう戻すことは…

お人よしは報われるの? 遠藤周作「わたしが・棄てた・女」

ラジオで爆風スランプの「大きな玉ねぎの下で」が流れていた。 昔の曲だなあとぼんやり聞いていたんだけれど「ペンフレンド」という歌詞に一瞬どきっとした。聞きなれない言葉は一気に当時の空気を感じる。 その曲よりだいぶ前だけれど、ペンフレンドでつな…

キザだけどかっこいい「こだわり」のエッセイ 伊丹十三「ヨーロッパ退屈日記」

最近「地味弁」が流行っているらしい。 esse-online.jp しきりは最小限、おかずは2品でOK、「インスタ映え」は考えないというのが地味弁の定義らしい。昔いわれた親父弁当である。 少し前まであんなにキャラ弁がもてはやされたのに、真逆のブームが起きるの…

1970年の家族 筒井康隆「家族八景」

書物やテレビドキュメンタリーなどで、激動の昭和といわれるだけあって、昭和の時代というのは年代ごとで、本当にいろんなことがあったんだと改めて気が付く。 1970年、1971年の出来事で調べると、1970年、大阪万博が開催、1971年、沖縄返還…

本能に抗えるのか 板垣巴留「BEASTARS」

2018年マンガ大賞が「BEASTARS」が受賞したと王様のブランチを見て知った。 私は以前ブログで書いた通り「凪のお暇」押しだったので、がっかりしたけれど、インタビューに答えた作者が鶏の被り物をして出てきて驚いた。 noguchiyo06.hatenadiary.jp 顔出しの…

ルドンと春とギリシャ神話 オディロン・ルドン「ルドン―秘密の花園―展」

春の鮮やかな花々で描かれた展覧会があることをご存知でしょうか。 ルドンー秘密の花園|三菱一号館美術館(東京・丸の内) 三菱一号館美術館の、「ルドン 秘密の花園」展である。 オディロン・ルドンは1840年にフランスで生まれた画家である。ロダン、…

古本を巡って 浅生ハルミン 「ハルミンの読書クラブ」

都会でビルが建ち並ぶ様子をみて「ビルが地面から生えてきた」と思う人はビル好きで、「ビルが地面に刺さっている」という人はビルに対して否定的な人でしょう。 前者はビルを生き物にたとえるだけの親近感を持っているということだし、後者にとってビルは…

旅にでる 鳥取編 (鳥取砂丘)

ハチミツとクローバーを読んでから、鳥取砂丘に憧れていた。 ハチミツとクローバー 1 作者: 羽海野チカ 出版社/メーカー: 白泉社 発売日: 2016/08/10 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (3件) を見る 「まだ帰りの飛行機まで時間あるし、鳥取砂丘いこ…

旅にでる 島根編 2 (足立美術館、小泉八雲記念館)

島根県は瓦屋根の日本家屋が多い。出雲空港を出ても、松江市に入っても、瓦屋根の立派な家が立ち並んでいる。 2日目の朝、タクシーに乗った時に母が運転手さんに瓦屋根のお家が多いんですね、と話しかけると「ここら辺で瓦を作ってるから多いんですよ」と教…

旅にでる 島根編 1(出雲大社、島根県立美術館、宍道湖)

太鼓の音にさそわれて旅に出た、と書いたのは村上春樹のギリシャ・イタリアエッセイの「遠い太鼓」であったが、わたしの旅はそんなかっこいいものではなく、母の一言から始まった。 「OL時代に、友達と出雲大社に行こうと話をしていたんだけれど、わたしだけ…

クリエイティブ習慣 メイソン・カリー 「天才たちの日課」

生粋の飽き性である。歯磨きや入浴などの習慣はあっても、やらなければならないこと、学びたいことは全くといって続いたことはない。 食事の時間さえ、規則正しくするのが苦手だ。 習慣にしたいことそのものを忘れてしまうこともしばしば。注意散漫で集中力…

わたしのピカソ愛

これいいなあ、と思ったイラストや絵画をよく見るとピカソであるものが多い。 ある時は、箱根の美術館に行った時。回転式のラックにささっているポストカードを見ていると、クリーム色の紙にペンで一筆書きされたようなタッチ、女性が寝転がっている構図のカ…

みかくとみため

ドキュメンタリーが好きなのは、小さい頃からのようである。 大豆から、豆腐、醤油、味噌、納豆になる工程をイラストで描いた絵本が家にあってよく読んでいた。 イラストが可愛かったこともあるけれど、大豆から、たくさんの食品になることが面白かったし、…