中国人の友達が東京にきた! 4 上野美術館めぐり編(プーシキン美術館展―旅するフランス画)
中国の友達と、東京で遊んだときの回顧録でございます。
美術館に行きたい、けれど展示は何でもいいとのことだったので、それじゃわたしの見たいもので、と東京都美術館でやっている「プーシキン美術館展―旅するフランス画」と西洋美術館での「プラド美術館展」へ行った。
会期中に行きたいなあと思っていた展示だったし、ニューヨークにいたときに、上海の友達が「印象派が好き」と言っていたことを覚えていたからである。
「プーシキン美術館展-旅するフランス絵画」は、17世紀から20世紀に西洋で描かれた油絵の風景画展だ。
なぜにプーシキン?フランス絵画?と思った方もいるだろう。実は、モスクワのプーシキン美術館が所蔵する絵画展なのである。
展示図録には「プーシキン美術館は、帝政ロシア時代の実業家セルゲイ・シチューキンとイワン・モロゾフという伝説的なふたりをはじめとするコレクターたちが収集した秀逸な西洋絵画コレクションでその名が知られています。」と書かれている。
つまり、ロシア人コレクターたちがフランスまで旅をし「ああ、フランスといえばこうだよ!素晴らしいね!」と作品に感動させられ購入した、華やかなコレクションである。
第一章は神話をもとにした風景画、その後は田園風景や忠実な描写が多いが、印象派の時代に下ると色鮮やかになる。印象派だけでなく、ピカソ、マティスやルソーなどの近代絵画もあるので、時代によって表現が大きく変わっていくところが良くわかる展示だ。
アルベール・マルケの「パリ・サン=ミッシェル橋」は、1908年から1911年の間、窓の外の風景を描いた作品の一つである。
画家が住んでいたアトリエの窓からみた、セーヌ川に架かる橋の風景。マルケにとっては毎日違う街並みに見えたのだろう。ちなみに、冬の橋を描いた作品も展示されています。この作品ではわからない、寒々しい空気を感じることができるので、ぜひ実物をみて比べてほしい。
風景画というシンプルな題材は、画家の個性が色濃く反映される。
アンリ・マティスの「ブーローニュの森」(1902年制作)
森の小道、差し込む日の光というよくある構図でありながら、従来のイメージとブーローニュの森は異なる。森がざわざわ揺れて、揺れた残像が視界に残っているようである。
なぜかわたしはディズニーの「白雪姫」を思い出した。白雪姫が森に迷い込んだシーンを重ね、不気味ながらも惹かれ、じっと作品を見つめていたのでした。
森の茂みに隠れていたら、最期を迎える馬と目が合った。 アンリ・ルソーの「馬を襲うジャガー」(1910年制作)である。
アンリ・ルソーが描くジャングルが大好きだ。残酷な野生の一場面だとしても、どこかそこは楽園のような、おとぎ話のような世界が広がっているのである。
ルソーは生きていたころに「植物園の温室より遠くへ旅行したことはない」とインタビューに答えている。*1
ルソーの描くジャングルは、自身の中にだけ存在するのだ。空想で旅をし、描いたのである。もしルソーが肉眼でジャングルを見てしまったなら、この世界は壊されてしまっていただろう。繊細で、子供のような無邪気さを感じる世界観である。
ちなみに、初めてわたしがルソーの絵を見た時、エルマーのぼうけんに似ているなあと思った。
わたしはルソーを見ると懐かしい気持ちがするのだが、そのせいかもしれない。
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お昼はパークサイドカフェへ。
上野公園内にあるカフェである。テラス席で、おしゃべりをしながらゆっくり食事をとった。
デザートで頼んだアップルパイが、あったかくてサクサクしていて、とてもおいしかった。
だらだら話をしていたら、あっという間に15時過ぎ。せっかくだしもう一つ見ていこうよと促し、西洋美術館へ急いだ。
文字数が多くなってしまったので、プラド美術館展については次回。