旅にでる 島根編 2 (足立美術館、小泉八雲記念館)
島根県は瓦屋根の日本家屋が多い。出雲空港を出ても、松江市に入っても、瓦屋根の立派な家が立ち並んでいる。
2日目の朝、タクシーに乗った時に母が運転手さんに瓦屋根のお家が多いんですね、と話しかけると「ここら辺で瓦を作ってるから多いんですよ」と教えてくれた。
後で調べてみると石州瓦という島根県の石見地方でとれる粘土瓦でできているらしい。
大きな日本家屋に赤茶色や、黒のつやつやしてしっかりした瓦屋根は、家主の家をがっちり守っているようでとても頼もしく見えた。
瓦屋根の家々を松江から電車で安来市で1時間、その後シャトルバスで15分ほど走ると、足立美術館がある。
日本庭園で有名な美術館である。
県立美術館のように現代的で白い、ル・コルビュジエのようなデザインの建物の美術館である。
展示品はすべて日本の芸術家のもので、大正〜昭和の絵画、美人画など、上品で綺麗な日本画が多い。
横山大観の特別展もやっていた。
横山大観は、東洋的な思想や概念を追求した日本画家らしく、題材も波や山など普遍的なものが多かった。有名な芸術家であったけれど、作品を見てこなかったので、この機会で見れてよかったと思う。
展示室を進むと、大きな庭園が見える。
遠くの山々も庭園の木々とつながって見えて、庭園がずっと遠くに続いてるようである。
丁度、山々が枯れ木で手前の庭園の木が濃い緑だったので手前から、徐々に春が来ている気持ちになった。きっと、紅葉も新緑も段々と染まってくんだろうな。四季折々楽しめる庭園である。
足立美術館の庭園はジオラマみたいだった。きちんとに手入れされて無駄がなく、木や川や岩がきれいに収まっている。砂は真っ白でアスファルトみたいに均等に敷き詰められていた。
わたしは、もっと雑然とした自然や庭のほうが好きだなあと思った。(庭は手入れされているものということは置いといて)あんなに広い庭を管理するのは大変だと思うけれど。感じのいい庭園だけれど。
きれいすぎると、自然が管理されてるみたいだと思ってしまう。
それでも池の鯉は大きくて、ゆったり泳いでた。人がいたら餌を求めて近づいてくるぎろぎろとした目をする、ほかの池の鯉たちと全然違う。
管理されているということはきちんと大事にされているということなんだろうと思う。
土砂降りの雨のなか、バスに乗って小泉八雲記念館へ。ゆっくり見ても30分もかからない博物館だ。
小泉八雲は「怪談」を英語翻訳し世界各地で広めたことで有名である。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)はギリシャ生まれ。お父さんのお仕事でアイルランドに引っ越したけれど、ギリシャ人のお母さんはアイルランドの生活に慣れずほどなく離婚。神学校に通わせてもらうため大叔母に預けられる(お父さんの説明がほとんどなかった。どこかいっちゃったのかな)
大叔母が破産してしまい、学校を中退。アメリカにわたり新聞記者になる。
ここまでですでに波乱万丈。そこから取材でアメリカの各地へ行く。
そのうち、「古事記」にであい、日本に興味をもち、新聞記者の取材と称して日本へやってくる。のちに新聞記者の仕事を辞め島根県へ英語教師として赴任し、日本人の女性と結婚する。
ふたりは最初英語も日本語もうまく話せないもんだから、恋人同士の時は文通をしていたんだけれどその時にカタカナで書いた、二人だけの日本語でもない言語でやり取りしていたそうで、その手紙も展示されていた。
ふたりにしか通じない言語なんて、すごいロマンチックだ。結婚して小泉八雲に改名し、奥さんに「怪談」を語らせて「耳なし芳一」などを英語に翻訳し、出版した。
小泉八雲は神学校時代に片眼を事故で失明して、そのことでずっとコンプレックスを抱いていたようだ。失明した目を隠すように横向きの写真が多かった。
実は小泉八雲がアメリカに住んでいたころに黒人女性と結婚していた。だけれど、当時まだ黒人差別のある時代。そのためすぐに離婚させられてしまったのだそう。
片眼が見えないという障害があったおかげで、異なる文化を受け入れられたのかもしれない。
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記念館で売っていたので買ってみた。読み終わったらまたブログに書きたいと思う。
次で旅行記最後です。