旅にでる 鳥取編 (鳥取砂丘)
ハチミツとクローバーを読んでから、鳥取砂丘に憧れていた。
「まだ帰りの飛行機まで時間あるし、鳥取砂丘いこっか」
母の思い付きから急に行くことになって、しかも最終日の帰る前に行けることもわかった。驚いた。母の行動力はすごい。
島根県松江市から鳥取に向かう電車の中、ああ、もう砂丘は近くにあるんだと思うとドキドキした。ドキドキする分、期待外れになったら嫌だなあと考えてた。わたしはいつも大げさにとらえがちだ。
鳥取砂丘は中国山地から流れている千代川と風が運ぶ砂を、10万年の歳月をかけて積み上げた、南北2.4㎞、東西1.6㎞、最大高低差90mの砂丘である。
その日は雨上がりのどんよりした曇りだった。足元が悪いからか、ラクダも本日はオフ。
晴れだったら一層きれいだったと思うけれど、湿った砂丘は砂嵐がそこまで巻き起こらず、砂丘に波紋が起きていなかった。
ペタッとした砂丘は、ダリの絵画みたいだった。
急こう配の砂丘を登って、頂上にあがると風の音が急に大きくなった。
周りに遮るものがなくなったから風は勢いを増した。冬の日本海の風がゴーゴーわたしに押し寄せてきて、手袋もバッグも、マフラーも飛んでいきそうな気がした。砂も風と一緒になってわたしに援護射撃してくる。目が開かない。
必死に目を開けて下を見ると、日本海が広がっていた。
砂丘に打ちよせる大きくうねった白波と、ずっと続く水平線のディープブルーに目がまわった。
遠く向こうまで続く砂丘と海の、普遍的な自然に圧倒されて、自分が一粒の砂になった気がした。
自分がどこにいるのかわからなくなる。足がガクガクする。
このままどっかにとばされそう。怖い。
本当は写真家、植田正治の砂丘モードのまねして写真を撮りたかったけれど、強風で歩くのも大変で、髪の毛もずっとメデューサになっていたのでやめた。
頂上ではうまく写真も撮れなかったし。ほかのひとたちはバシャバシャ写真を撮っていて不思議だった。たっているだけでも精一杯だったのに。
もしかして、わたしは高所恐怖症なのかもしれない(今更すぎる)
砂丘から降りた後に気付いたけれど、そういえば、日本海を見たのも初めてだった。
ハチミツとクローバーみたいに、冬の砂丘はロマンチックではなかったけれど、自然があんなに大きくてずーっとこの先も続いてくことを感じられるという経験は今までなかったので、これて本当に良かった。
またくる時があったら、暖かい季節にきたいなあと思う。
2泊3日の旅を通じて、山陰の人たちはおおらかで素朴な人が多いと思った。
シャイな人が多いのか、話しかけないと特に反応してくれないけど、道を聞いたりするとすごく親切だった。
良い景色と歴史と美術、温泉が楽しめるのも、地元の人たちが守ってくれてるからだよね。ほんとうにお世話になりました。
2日目のタクシー運転手の方が「松江駅付近は瓦屋根がへってきて、今風のマンションが建ってきたよ」と言ってたけれど、どうか変わらないでほしい。
瓦屋根は本当にかっこいいし、変わらず生活をしている人々もかっこいい。また来るときに、あの田園風景と瓦屋根が続いてあってほしいと思う。
お邪魔しました。またいつかお邪魔します。
最後に写真たちでお別れです。
砂丘近くのお土産屋さんで売ってたパズル。難易度高い。
島根の可愛いポストたち。
その1、出雲大社前
その2、同じく出雲大社の近くにあったポスト
その3、島根県立美術館にあったポスト
島根市内に何軒かあったガソリンスタンド。
瓦屋根の家々から急ににょきっとでてきてました。釘付けです。
写真撮り忘れたけれど島根県立美術館のガソリンスタンドはベージュでした。