のぐちよ日記

映画、本、アート、日々のことをちまちまと。

旅にでる 島根編 1(出雲大社、島根県立美術館、宍道湖)

太鼓の音にさそわれて旅に出た、と書いたのは村上春樹ギリシャ・イタリアエッセイの「遠い太鼓」であったが、わたしの旅はそんなかっこいいものではなく、母の一言から始まった。

 

「OL時代に、友達と出雲大社に行こうと話をしていたんだけれど、わたしだけ予定合わなくていけなかったのよねえ」

 最近やたらとその話をしてくるので、仕方ない。

出雲大社、いく?」そう私が聞くと「いいの?」とわざとらしく答えた母に、のせられた気もしなくもないが、トントン拍子に旅は決まった。二泊三日の親子旅。

なんていったって今わたしには時間は腐る程ある。ただのんびり美術館でも回って、温泉に入る旅がしたかったので正直丁度良かった。

 

以前日記に書いたのだが、わたしは旅のお供えに本を持っていくことにしている。

 

noguchiyo06.hatenadiary.jp

 今回の旅のお供は2冊。

 

近所のブックカフェで古本が閉店セールで30パーセントオフになっていたので購入した。小川未明の「小川未明童話集」と岸本佐知子の「ねにもつタイプ」だ。

 

小川未明童話集 (新潮文庫)

小川未明童話集 (新潮文庫)

 

 

 

ねにもつタイプ (ちくま文庫)

ねにもつタイプ (ちくま文庫)

 

 1日目、朝早くから出雲空港に到着しそのまま出雲大社へ行った。

 

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出雲大社と言えば古事記にもその存在が記されている、歴史ある神社である。あらゆる縁を結ぶオオクニヌシノオオカミが祀られているそうで、どうやら縁結びは恋人だけでなく、人付き合いも含まれるらしい。

なのでわたしは今の友達の縁が続くようにと、これから出会う人たちの縁を祈っておいた。二つもお願いしたら、欲張りだって、かなえてもらえないだろうか。どちらか叶ったらいいなあ。

 

御本殿は大社造りと呼ばれる日本最古の神殿様式で作られているらしい。

 

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御本殿は神域のため、手前の八足門で参拝をする。瓦ではなく、高倉式のような縄文文化の建物に見える。がっしりと地に根を下ろして立っている気がした。

どうやら良縁の神様の効果はあるらしく、絵馬には「おかげで子供を授かることができました」と書いてあったものもいくつかあった。面白い絵馬も多かった。「島根大学と良縁を結べますように」。ぜひこちらも神様お願いします。

 

思いのほか時間が余ったので、そのまま島根県立美術館へ行った。

 白くて大きな建物だ。屋根は大きく波うつようにウェーブになっているデザインだ。宍道湖に面した中庭は、日差しがロビーいっぱいに入るため、サンセットスポットらしい。

 

宍道湖はしじみ漁で有名である。

朝方に船が来て、しじみをとっているのだけれど、海のような波も起きず、ゆったりと静かな景色が広がる。

県立美術館はお昼過ぎに行ったが、日没はすっごくきれいだろうなーと思った。

美術館の閉館時間も、日没から30分になっていて季節によって閉館時間が変わるらしい。おしゃれな美術館である。

 

展示室は四角形で日本画、陶芸、日本の西洋画、企画展が向かいあわせてあり、真ん中には大きなロダンのヴィクトル・ユーゴの彫刻がある。

モダンな建物と展示方法であるが、展示されている美術は正統派である。島根出身の画家が多かった。

今回は残念ながら一部工事中であったので企画展は奈良原一高のみだったけれど、素晴らしい写真展だった。

島根県立美術館|コレクション展

ポートレイトをテーマにした写真展で、グラフィックデザイナー、学者、アスリートやシェフなど様々な職業の第一線で活躍された方の写真が展示されていた。

1人につき、3枚ほどで展示してあったのだが、合わせ鏡を使ったり、鏡ごしに映った横顔だったり、水中から撮っていたりと構図がユニークだった。

 

3枚中1枚は自然に立っているところ、モデルの正面を写しているのだけれど、緊張して固まってなくって、手足もだらんとおろして、すごくリラックスして笑っている。

写真を撮った場所が、モデルの仕事場だったりするせいもあると思うけれど、きっと写真家の人柄がよくて、和ませたり、ジョーク言ったりして、撮影したんじゃないかな。と想像した。

 

美術館を見終わり、日没前に宿にチェックインすることにした。

旅館は宍道湖温泉駅の近くで、2日間泊まったのだが、サービスも部屋も料理もすべて良かった。

夕飯も終わり、露天の温泉につかってふーっと一息つく。

お湯はすこしぬるく感じたけれど、顔も冷えず、肩もぶるぶる身震いせずに浸かっていられた。

じりじり体があつくなる。

ふと、夜もこんなに暖かいなんてなあ。春はもうすぐだなと一日の終わりに思った。

 

旅行記続きはまた明日。